突然ですが、落語はお好きでしょうか?
私が落語に興味を持ったのは数年前、大阪から鹿児島へ帰る深夜の夜行バスの中。
1人暇を持て余している時、iTunesに表示されたのが【落語】桂歌丸/牡丹燈篭だった。
桂歌丸師匠のイメージと言えば、笑点で圓楽師匠から司会者を引き継いたツルッとした人、いつも小遊三さんに「じじい」と罵倒されているツルッとした小柄な人、というツルッとした認識しか無く、本業である噺家としての”芸”に触れる機会は一切無かったし、さほど興味を持った事も無かった。
ただ気になったのが、演目の「牡丹灯籠」
かつて私が愛した物語のひとつに中国の「牡丹亭」というものがある。
杜麗娘という美しい娘が夢に出てきた青年への恋煩いにより死んでしまうが、生前に描かれた杜麗娘の肖像画に、その青年も恋をし最後は結ばれるという幻想的かつ優美なおとぎ話である。
「牡丹灯籠」はその牡丹亭を下地に落語の神様「三遊亭 圓朝」が創作した長編落語の最高峰らしい。
2000年に坂東玉三郎が演じて話題になった牡丹亭の華やかな世界を勝手に妄想した私は、人生で初めて落語に触れてみようと思ったのだ。
が、いざ聞いてみると舞台は江戸の長屋。
主人公は若侍ではなくその奉公人!?「話が違う〜!中国の薄命な美女とイケメン王子はどこ行ったの!?」と困惑しながらも、聞き慣れた懐かしい声がテンポ良く語る奇想天外なストーリーに夢中になっていった。
何より桂歌丸師匠の手に汗滲むリアルな演技には中毒性があり、笑点の座布団に座っていただけの御仁ではないという事を今更知るのだった。
そんな出会いから落語にハマった、自称にわか落語好きの私が更なる「落語初心者」へお勧めする落語が題材のドラマ、漫画、映画を偉そうにご紹介します。
【ドラマ】タイガー&ドラゴン 2005年
宮藤官九郎脚本。丸坊主の星野源やアフロの阿部サダヲなど端役の俳優陣まで超豪華!平成落語ブームの火付け役とも言えるこの作品。
落語と現実世界が上手くリンクしているので、1話につき必ず1〜2個は古典落語のあらすじを理解する事が出来る。ドラマ全11話見終わる頃にはすっかり落語通になれるかも!?
【漫画】昭和元禄落語心中 2011年〜2016年
少女漫画だと思って侮ることなかれ!
主人公の師匠「有楽亭八雲」の演じる廓噺や怪談話は色っぽくて凄みがあり、こんな名人が本当に居たら惚れてしまうやろ!!とキュンキュンしながら、噺家の業に満ちた生涯がドラマチックに展開されていく。
漫画の巻末にある作者のコラムがイラスト付きで非常に分かり易いので寄席に行く前に是非チェックして頂きたい。
【映画】立川談志 2013年
私は”人情噺”があまり好きではないが、この映画を見て談志が演じる超名作落語「 芝浜」があれ程までに絶賛される理由が素人ながら分かる気がした。
扇子や手ぬぐいといった小道具の使い方、江戸っ子魚屋の何気ない仕草まで実にリアルで、女房が話し始めると往年の舞台女優がそこに居るかのような錯覚すら起こしてしまうのだ。
晩年の舞台と毒舌名言を存分に楽しめるお得な映画。
Reference:YouTube
【ドラマ】赤めだか 2015年
立川談志の弟子「立川談春」のエッセイが原作のドラマで二宮和也演じる談春が見習いからプロの落語家に成長するまでを描いている。
「修行とは矛盾に耐えること」という談志の言葉通り、家事や魚市場のアルバイトに明け暮れる悔しくて惨めな日々は、一見無駄に思えても後になってみれば全て理にかなっている様に思う。
そう、人生は落語なんだ。
【ご案内】
という事で、寄席に行く心の準備が整ったらいざ!
と意気込まなくとも、心構えや予備知識が無くても全然楽しめちゃうのが落語のいい所です。
まずは身近な所で開催されるリーズナブルな寄席を堪能してみませんか?
古本に囲まれた空間で浴衣にアイスコーヒーでも飲みながら、夏の夜を粋に過ごしましょう!
レトロフト特別企画 桂歌丸「落語を楽しむ夕べ」
2017.7.29 19:00〜20:30
会場 鹿児島市名山町2-1 レトロフト千歳ビル1F リゼットひろば
料金 1000円 当日立見 800円
定員 30名 ※要予約レトロフトのHPからお名前(参加者全員)と代表メールアドレス、メッセージ欄に代表者のメールアドスを書いてお申込み下さい。